◆第19回 紅の会書展

概要報告
 平成24年3月20日(火)〜25日(日)、名古屋市中区の名古屋市民ギャラリー8Fにて「第19回紅の会書展」を開催いたしました。同書展では、愛知県教育委員会・名古屋市教育委員会のご後援をいただき、紅の会会員 約50名の作品約90点を展示。会期中のべ1400余名の方にご来場いただきました。
 ご高覧、誠にありがとうございました。




右:「待ちかねてゆめの中にて月を食ふ」(自作) 小林 紅琳(90×62
中央:「不思議包むや吾亦紅」(自作) 小林 紅琳(140×140
左:「去年今年三月は十一日のまま棒立ち」(自作) 小林 紅琳(90×62

 今回は、自作句の作品三点を出品しました。
 細線で余白の白を活かし、黒白の妙と空間の明るさのある作品作りに挑戦しています。
 形式にのっとった句というよりも呟き……今思っていることを紙の上にそっと載せたい、内から零れ出た言葉をどう書として鑑賞に耐えうる文学性・視覚性を備えた作品にするかをこれからも試行錯誤してゆきます。

 左右の作品は、去年の暮れに一年を振り返って思ったことを題材に。震災、月食の2つの出来事が、やはり心に残りました。「待ちかねて」はベランダで仰 向けになって小一時間眺めていた月食について。見上げながら、少しうとうととして……もしそのまま寝入ってしまっていたら、そのまま夢の中で見ていたのか しら?とふと想像したことを句にしました。「去年今年三月は」は、昨年の第18回展が震災直後だったので、忘れられない、忘れてはいけないこととして、 記憶に留めるには、書家としてこの方法しかありませんでした。

 表具については、額ではなく、枠のフチ無しとしました。「待ちかねて」の月の句はマットを銀色に、「去年今年三月は」は黒色としました。




「青春・朱夏・白秋・玄冬」 
小林 紅琳(径35cmの円)×4

 中国の陰陽説に由来し、神話のなかに登場する四神(青龍・朱雀・白虎・玄武)は、天の四方の方角を司る霊獣です。
 四神のモチーフは、神社仏閣の門などでも使われていますが、四季にも対応し、それぞれの季節を司る存在でもあります。それを踏まえて、今回は「青春・朱夏・白秋・玄冬」としました。
 銀と金の丸い紙の中に二文字を入れるのは難解ですが、全て筆と墨と印を変えて、書風の違う作品に仕上げました。また、表具を同一にして四連作として、作品ひとつでも四連作としても成り立つ作品として仕上げました。















 来年は第20回展となり、記念展をどのような内容にするのかを思案中です。一皮剥けた新生「紅の会」として、お目に掛かりたいと思っております。
 

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